Tactile Nail Chip
- 概要
爪にマニキュアを塗ると指先に違和感を感じることがあります.この現象をもとに,装着することで爪を少し曲げさせ,指先の触覚感度を変化させる装置が「触覚ネイルチップ」です.
- 背景
現代では,眼鏡や補聴器といった感覚を調整する装置が必要不可欠なものとなっています.実は触覚も視覚や聴覚と同様に,老化や病気によって衰えていきます.しかし,一般的な触覚調整装置はありません.もし触覚を調整することができれば,触覚の衰えを矯正することや,感覚過敏症状の緩和することが可能になるかもしれません.
- 研究の成果
私たちは,触覚ネイルチップが触覚の感度に及ぼす効果について研究を進めながら,従来の触覚ネイルチップより耐久性や汎用性が向上した「簡易型触覚ネイルチップ」を開発しました.
- 特徴
装着した人の指先の皮膚を硬くしたり,力の伝わり方を変えたりすることで,触覚感度を変化させるという特徴があります.また,爪に装着する装置であるため,指の腹の部分があいており,物に直接触ることができ,装着が非常に簡単であるというメリットがあります.
- 研究の未来
現在は,触覚感度のレベルに差がある複数人に,それぞれに適した簡易型触覚ネイルチップを装着することで,触覚感度を同じレベルに合わせるという目的に向けて研究を行っています.
触覚感度を揃えることできれば,触覚情報の共有につながり,運動や楽器演奏などの指先を使う動作において技能伝達が可能になるかもしれません.
また,取り扱いが簡単な装置であれば,眼鏡や補聴器のように,誰でも目的に合わせて触覚の調整を行うことができると考えています.
- Project member: 田中 皓
- 主な論文:
(1)触覚ネイルチップ:基本コンセプト
佐野明人,田中由浩,伊藤真由実,藤本英雄,ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2007,”2P1-N09″,2007
(2) 触覚ネイルチップが指先の触知覚現象に与える効果
田中由浩,伊藤真由実,佐野明人,藤本英雄,ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2008,”1P1-H22″,2008
(3) 焼入れリボン鋼を用いた触覚ネイルチップに関する基礎研究
田中皓,田中由浩,佐野明人,IIP情報・知能・精密機器部門講演会講演論文集 2016,”F-2-3″,2016
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